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なぜ今「手紙営業」なのか
デジタル広告、インサイドセールス、ウェビナー…。
あらゆるチャネルが乱立する中で、あえてアナログの「手紙営業」を選ぶ企業が増えています。
一方で、こんな声も少なくありません。
- 「手紙営業をやってみたけど、正直そこまで成果が出なかった」
- 「開封されているのかも分からない」
- 「結局テレアポやメールと変わらないのでは?」
結論からいうと、手紙営業は「どんな会社がやっても成果が出る万能手法」ではありません。
しかし、ある条件を満たす企業にとっては、他のどのチャネルよりも強力に「CXO(経営層)」へ届く武器になります。
この記事では、Todokeruが直筆のCXOレターを通じて
エンタープライズ企業の決裁者からの返信や、商談率10〜15%前後を生み出してきた知見をもとに、
手紙営業がハマる「5つの成功条件」と、CXOレターの設計のポイントを整理します。
手紙営業・CXOレターとは何か
ここでいう手紙営業とは、
- 決裁者個人宛に
- 直筆の手紙と高品質な封筒・便箋を用い
- 戦略設計されたメッセージで
- 商談や資料請求につなげるための施策
を指します。
特にCXOレターは、
「代表取締役社長」「執行役員」「事業責任者」などの経営層に向けて送る、
いわば「経営者専用の営業レター」です。
Todokeruでは、
- 書道有段者による筆文字の宛名
- 封蝋(シーリングスタンプ)
- 600〜980文字前後の完全直筆の便箋
- サービス紹介や事例をまとめたレターシート(同封資料)
などを組み合わせ、「外見」「文章」「同封物」の3つを差別化することで、
開封から商談までの導線を設計しています。
手紙営業の成功5条件
ここからが本題です。
手紙営業、とくにCXOレターが最大限に威力を発揮するための条件は次の5つです。
- サービスが専門的である
- ターゲット業種が狭い
- 独自の価値提供がワンフレーズで伝えられる
- 競合・自社他社との明確な差別化ポイントがある
- ターゲット会社に近しい実績がある
順番に掘り下げていきます。
条件① サービスが専門的である
手紙営業は「悩みが深く、意思決定に責任が伴うテーマ」と相性が良い施策です。
例えば、
- SaaSやDX、AI、BtoBの専門サービス
- 医療・介護・人事・IR・ブランディングなど、専門性が高い領域
- 単価が高く、即断即決というよりも「検討」が前提のサービス
こうした商材は、
LPやバナーだけでは魅力が伝わりにくく、かといってテレアポで語るには時間が足りません。
そこで、CXOレターの出番です。
- 「なぜこのサービスが生まれたのか」
- 「既存のやり方ではどんな課題が解決できないのか」
- 「経営視点で見るとどんなリスク・機会があるのか」
といったストーリーを、
経営者の思考スピードに合わせて一気に伝えられるのが手紙の強みです。
専門性が高いサービスほど、
手紙という「腰を据えて読まれるメディア」が活きます。
条件② ターゲット業種が狭い
手紙営業は、広く薄く撒く施策ではありません。
むしろ「狙いを絞り込んだ企業群」に対して深く刺すためのチャネルです。
- 「製造業の中でも、特に●●用途の部品メーカー」
- 「従業員100〜500名のSaaS企業」
- 「東証プライムの中でも、IR・広報部門に課題を持つ企業」
このレベルまでターゲット業種・条件を絞り込めるほど、
手紙の中身は具体的になり、「自分ごと化」されます。
ターゲットが広すぎると、
どうしてもメッセージが抽象的になり、
- 「どこの会社にも当てはまりそうな話だな」
- 「うちに来た理由が見えてこない」
と読み手に感じられ、返信・商談につながりにくくなります。
逆に、業種や条件を狭められる企業ほど、
CXOレターの費用対効果は高くなります。
条件③ 独自の価値提供がワンフレーズで伝えられる
手紙営業における肝は、
「この会社に相談すると、何が一番うまくいきそうなのか」
が一言で伝わるかどうかです。
例えば、
- 「エンタープライズ企業の決裁者に届く手紙営業支援」
- 「IR・開示業務に特化した資料作成と投資家コミュニケーション支援」
- 「介護事業の加算算定と業務設計を同時に支援するSaaS」
このように「誰の」「どんな結果」をつくるのかが、
ワンフレーズで言い切れるかどうかが重要です。
CXOレターでは、
便箋の冒頭やレターシートの見出しにこのワンフレーズを置き、
経営層の頭の中に残る「ラベル」を先に貼ります。
その上で、
- 現状の課題の言語化
- 解決条件の提示
- 自社がその条件を満たしている理由
をストーリーとして展開していくと、
「一度話を聞いてみてもいいかもしれない」という気持ちが生まれます。
条件④ 競合・自社他社との明確な差別化ポイントがある
手紙営業の世界でも、
もはや「直筆で手紙を送るだけ」では簡単に真似されてしまいます。
そこで重要になるのが、
サービスそのものの差別化と、手紙そのものの差別化の両輪です。
サービス側の差別化
- 料金体系や保証(商談保証、成果報酬など)
- 対応できる領域の広さ・深さ
- 導入後のフォローや運用支援の有無
など、他社にはない条件を明確にしておくことが前提です。
手紙そのものの差別化
Todokeruでは、手紙施策において
- 外見(封筒・筆文字・封蝋)
- 文章(構成・ボリューム・ストーリー)
- 同封物(レターシート、自己紹介シート、資料導線)
の「3つの差別化」を設計しています。
例えば、
- 書道有段者の筆文字で書かれた宛名
- シーリングスタンプ付きの封筒
- 600〜980文字の直筆文章と、レターシートの組み合わせ
は、受け取った決裁者にとって「見たことがない体験」になり、
それ自体が「この会社は営業の考え方が違う」という差別化メッセージになります。
条件⑤ ターゲット会社に近しい実績があるかどうか
CXOレターは、
「共感」と「論理」と同じくらい、「安心材料」が重要です。
特に経営層は、次のような問いを無意識に持っています。
- 「うちと同じような規模・業種で成果は出ているか」
- 「自社よりも厳しい条件の会社でうまくいっているか」
- 「実績は単発ではなく、再現性があるか」
手紙の中で、
単に「導入実績●社」のような数字を並べるだけではなく、
- 業種(IT・SaaS、NPO、上場企業など)
- 従業員数
- 通数
- アポイント率や成約率
- どのような課題から依頼されたのか
まで具体的に書けるかどうかで、信頼度は大きく変わります。
Todokeruの事例でいえば、
- 従業員180名のSaaS企業に対して300通を送付し、経営層からのアポイント率15%、うち約6割が成約
- NPO団体が東証プライム上場企業の社長と商談機会を獲得
- SaaS企業100通でアポイント率12%、経営層から直接返信、多くが好意的な反応
など、ターゲットに近しい企業の具体的な数字とストーリーを添えることで、
「自社にも再現できそうだ」と感じてもらいやすくなります。
CXOレターを設計する5ステップ
ここからは、実際にCXOレターを設計する際の流れを簡潔にまとめます。
① 戦略設計:誰に・何を・どの順番で届けるか
- ターゲット業種・条件の絞り込み
- アプローチする役職(CXO、事業責任者など)の決定
- 通数とスケジュール(1通目・2通目)の設計
特に2通目のCXOレターは、
「1通目で気になったが、忙しくて動けなかった層」への再提案として機能します。
② リスト精査:会社単位ではなく「人」単位で考える
- 会社情報だけでなく、
決裁者の氏名・役職・所在地まで精度高く整える - 宛名の誤字脱字は信用に直結するため、徹底したチェックが必要
CXOレターは「会社宛」ではなく「人宛」のコミュニケーションです。
③ メッセージ設計:ワンフレーズとストーリーライン
- 冒頭に置く「独自の価値」をワンフレーズで決める
- 読み手の共感 → 課題提起 → 解決条件 → 自社の強み → 実績 → オファー
という流れで文章を構成する - 文字数は600〜980文字を目安に「読ませる長文」をつくる
④ レターシート・同封物の設計
- 手紙で書ききれない情報(サービス詳細、料金、図解など)をレターシートに集約
- 「営業資料」ではなく「情報提供」として読まれるトーンにする
- 写真やプロフィール、ストーリー要素を適度に入れ、対人の印象を強める
⑤ 送付とその後:CXOレターの位置づけを決める
- 「手紙のみ」で勝負するのか
- 後追いメール・架電と組み合わせるのか
- 返信・お問い合わせが来た際の対応フローを事前に整えておく
特にCXOレターの場合、
返信1件あたりの価値が極めて高いため、
その後の商談設計まで含めて「施策」として考えることが重要です。
どんな企業が手紙営業・CXOレターを優先すべきか
ここまでの内容を踏まえると、
次のような企業は手紙営業・CXOレターとの相性が非常に良いと言えます。
- 専門性の高いBtoBサービスを提供している
- アプローチしたい業種・条件がはっきりしている
- 自社の独自価値をワンフレーズで言い切れる
- すでに一定数の実績があり、「似た企業」の事例を出せる
- これまでテレアポ・メールだけでは決裁者まで届ききっていないと感じている
逆に、
- サービス内容がまだ固まっていない
- ターゲットが「とにかく色々な会社」と広すぎる
- 実績がほとんどなく、訴求材料がない
といった状況では、
まずはプロダクトやポジショニングを磨く方が先かもしれません。
まとめ:条件が揃えば、手紙営業は「決裁者に届く最短距離」になる
手紙営業・CXOレターは、
単なる「昔ながらのアナログ営業」ではありません。
- 専門的なサービス
- 絞り込まれたターゲット
- 独自価値のワンフレーズ化
- 明確な差別化ポイント
- 近しい実績の提示
この5条件が揃ったとき、
直筆の一通は、決裁者の机の上で
他のどの営業チャネルよりも強く、静かに効いていきます。
「決裁者にちゃんと届く打ち手が欲しい」
「新規開拓の軸をもう一つ増やしたい」
そのように感じている企業こそ、
手紙営業・CXOレターを検討するタイミングかもしれません。
この5条件をベースに、自社にとって手紙営業が「いつ、どの市場で」一番レバレッジが効くのか、
ぜひ一度整理してみてください。


